お腹で廊下を掃除?ファーストペンギンはいない?ペンギンとの“同居生活”で生態を学ぶ!イラスト満載の児童書が発売

ある日、ペンギンがわが家にやってきた! そんな奇想天外な“事件”から、ペンギンのあれこれを学ぶことができる児童書『もしも家にペンギンが来たら…』が主婦の友社より発売された。

ペンギン大国として知られる日本では、水族館や動物園で気軽に会えるものの、実際には飼うなんてことは、およそ現実的な話ではない。だけれども、ペンギン好きなら誰しもが一度は考えたことがあるはず。「飼ってみたらどうなるの?」という素朴な疑問──。

本書は、ある家族が暮らす家で本当になった「もしも」から始まり、ペンギンの生態が解説されていく。普通の家での身近な事柄を取り上げて、まだまだ謎の多いペンギンのことを知ることができる、という一冊だ。小説や漫画など、さまざまなフィクションで擬人化されることも多いペンギンだけに、この「もしも……」は、彼らの生態を知るためにはうってつけの切り口ともいえるだろう。

たとえば、もしもペンギンが家の中にいたら…と考えると、廊下を腹這いに滑っているところを思い浮かべる人もいるはず。痛くないの?と思うかもしれないが、これは掃除をしているわけでもなく、お腹で氷の上を滑って移動するペンギンならではの「トボカン」という習性によるもの。もちろん、その名前の由来も教えてくれるので、かゆいところにも手が届く。

あるいは、ペンギンには同性カップルも多くいる…ということを知って想像をめぐらせると、オスが人間のパパを好きになってしまう可能性も? といった「もしも」について妄想を膨らませることもできる。と同時に、独自の求愛についても、おもしろいエピソードが披露されている。

はたまた、ビジネスの世界で決まり文句のようにいわれる「ファーストペンギン」についても目からウロコ。よく言われるように、仲間のなかに勇気ある一匹がいるのではなく、実は「偶然」というのが実際のところのよう。そんな解説を読むと、世間でペンギンについて誤解されたまま広まっているイメージもあるのだろうな……と考えさせられて、さらなる興味は尽きない。

児童書として親しみやすいビジュアルがふんだんに掲載されているものの、その内容は大人でも楽しめる本格派。そして、中身も充実のボリュームだ。それもそのはず、監修はペンギン研究の第一人者として、関連書を数多く手がけてきた上田一生。「もしも」の想像から、ペンギンの不思議な生態について、新たな知見をゲットすることができるはず。

ペンギンのイラストを担当したのはふくのうみ。シュールさもあるテイストながら、たしかな知見に裏打ちされた、ペンギンのからだの模様や冠羽などの描き分けにも注目したいところ。

上田一生(監修)のコメント
ペンギンはただかわいいだけでなく、生き物の生態を深く知るのに最適な生き物。全国の動物園や水族館約100か所で飼育されており、今後も増えていく予定で、多くの子どもたちにとって身近な存在です。また、ペンギンが海のプラゴミを誤飲してしまう問題が世界的に報道されており、子どもが海洋汚染やSDGsに興味を持つきっかけになる生き物でもありますよ。

『もしも家にペンギンが来たら…』(監修・上田一生)は主婦の友社より発売中
定価:1320円(税込)
四六判、160ページ